脂質異常症について
脂質異常症は、血液中に含まれている中性脂肪やLDLコレステロール(いわゆる悪玉コレステロール)が多くなり過ぎたり、HDLコレステロール(善玉コレステロール)が少なくなり過ぎる病気です。本来、中性脂肪やコレステロールは身体にとって必要な物質なので、食事などを通じて体内に取り入れていかねばなりません。しかし、高カロリーの料理を食べ過ぎたり、適度な運動をせずに生活していると、中性脂肪やLDLコレステロールが増えすぎてしまい、様々な病気を引き起こすのです。
脂質の値が高い状態が続くにつれて、心筋梗塞や脳梗塞など、命に関わる病気の原因ともなりますので、企業や自治体などの健康診断で脂質値の異常を指摘された方は、お早めに医療機関を受診しましょう。
放置すると動脈硬化を誘発
高血圧などと同じように、初期段階では自覚症状はほとんどありませんので、健康診断で指摘されるケースがほとんどです。しかし、放置していると、中性脂肪やLDLコレステロールが血管の内側に張り付き、硬くなっていきます。これにより動脈硬化が進行し、心筋梗塞や脳卒中などのリスクが高まっていくのです。そして、ある日突然、心臓病や脳卒中などを発症するため、沈黙の病気(サイレント・ディシーズ)とも呼ばれています。
脂質異常症を予防するために
- 過食を抑え、標準体重を維持しましょう
- コレステロールの摂取は控えましょう(1日当たり300mg以下)
- 食物繊維を接触的に摂りましょう(1日当たり25g以上)
- 食塩を多く含む食品は控えめにしましょう
- 野菜や果物もバランスよく摂りましょう
- 肉類よりも魚介類・大豆類が望ましいです
- 肉類の脂肪は少なくし、植物や魚介系の脂肪に見直しましょう
- お酒は控えましょう(一日当たり純アルコール量25g以下)
- 禁煙するとともに、受動喫煙を回避しましょう
- 日常的に身体を動かすようにしましょう
- 1日30分程度の有酸素運動が効果的です(毎日行うのが理想です)
- 睡眠を十分にとりましょう
- リラックスし、ストレスを溜めないように心がけましょう
など
※病気治療中の方が運動をされるときは、主治医の先生にご相談ください(病気によっては運動を控えねばならないこともあります)。
脂質異常症の治療
脂質異常症の治療に関しては、食事療法と運動療法によって生活習慣を改善するとともに、必要に応じて薬物療法を併用します。一般的には、まず食生活を見直します。動物性脂肪を含む食品を減らし、植物性脂肪を含む食品に変更するのです。中性脂肪値が高い人は、糖質の多い食品やお酒を控え、総摂取カロリーも適正化します。
運動療法では、身体に適度な負担がかかる程度の運動を30分。出来れば毎日続けることが望ましいのですが、「仕事などが忙しくてなかなか続けられない」という方も多くいらっしゃいます。但し、継続的に行っていかないと、動脈硬化が改善されず、ある日突然、心筋梗塞や脳卒中で倒れてしまうかもしれません。病状が悪化する前に、医療機関を受診し、必要な治療を受けるようにして下さい。
食事療法や運動療法でも効果が見られない場合は、血液中のコレステロールを減らす薬を用いた薬物療法によってコレステロール値や中性脂肪値を低下させます。